117D46

11か月の男児。パッケージから出したばかりのコイン型リチウム電池を飲み込んだため両親に連れられて来院した。体温36.2℃。心拍数120/分、整。血圧80/56mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98%(room air)。機嫌はよく、顔色は良好である。努力呼吸を認めず、呼吸音に異常を認めない。来院時の胸部エックス線写真の背臥位正面像(A)と背臥位側面像(B)を別に示す。
この患児に適切な対応はどれか。
翌日の受診を指示
気管支鏡下の摘出
Heimlich法の実施
経鼻栄養チューブ挿入
磁石付きカテーテルによる摘出

解答: e

117D46の解説

【プロセス】
①11か月の男児
②パッケージから出したばかりのコイン型リチウム電池を飲み込んだ
③機嫌はよく、顔色は良好・努力呼吸を認めず、呼吸音に異常を認めない
④来院時の胸部エックス線写真の背臥位正面像(A)と背臥位側面像(B)にて電池と思しき像
☞小児の誤嚥または誤飲(①②)。もし誤嚥(気道へ落ちる)であれば呼吸困難が出現するはずであるため、③からは誤飲(食道から消化管へ落ちる)が考えやすい。実際、④の(B)にて円形の陰影が後方に寄っているため、食道内で停滞していると判断できる。食道内で停滞した電池は早期に腐食性食道炎、さらには食道穿孔から重篤な病態に至りかねないため、すみやかな摘出が望ましい。

【選択肢考察】
a 翌日では遅い。緊急で対応すべきである。
b 気道ではなく、食道にあるため無効。
c 気道異物への対応。
d 栄養を投与する方法でありナンセンス。チューブ挿入により、むしろ食道に停滞した電池を押し込んでしまう恐れもある。
e 正しい。コイン型リチウム電池は磁石にくっつくため、この方法が最適である。

正答率:86%

テーマ:コイン型リチウム電池誤飲への対応

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