117D41

28歳の女性。発熱を主訴に来院した。2週間前から咽頭痛と夕方になると39℃の発熱を認めるようになった。自宅近くの診療所で処方された抗菌薬を内服していたが、改善しないため紹介受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長165cm、体重58kg。体温38.7℃。脈拍104/分、整。血圧98/68mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部と腋窩とに軽度圧痛を伴う径1cmのリンパ節を複数触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を1cm触知する。四肢に多発する小紅斑を認める。小紅斑は、発熱時に出現し解熱後に消退するという。両側の手関節と膝関節に腫脹を認める。尿所見に異常を認めない。赤沈46mm/1時間。血液所見:赤血球465万、Hb 13.8g/dL、Ht 41%、白血球18,100(好中球86%、好酸球1%、好塩基球1%、リンパ球12%)、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 162U/L、ALT 134U/L、LD 330U/L(基準120~245)、ALP 88U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準8~50)、CK 86U/L(基準30~140)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。免疫血清学所見:CRP 22mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性。
次に確認すべき検査値はどれか。
第XIII因子
HLA-B51
フェリチン
ハプトグロビン
血清アミロイドA

解答: c

117D41の解説

【プロセス】
①2週間前から咽頭痛
②夕方になると39℃の発熱
③抗菌薬を内服していたが、改善しない
④頸部と腋窩とに軽度圧痛を伴う径1cmのリンパ節を複数触知
⑤右肋骨弓下に肝を1cm触知
⑥四肢に多発する小紅斑(発熱時に出現し解熱後に消退)
⑦両側の手関節と膝関節に腫脹
⑧白血球18,100(好中球86%)
⑨AST↑・ALT↑・ALP→・γ-GT→
☞咽頭痛(①)、弛張熱ないし間欠熱(②)、リンパ節腫脹(④)、肝腫大(⑤)、サーモンピンク疹(⑥)、関節痛(⑦)、好中球優位な白血球上昇(⑧)と教科書通りの出題と言えよう。成人Still病である。本問を解く上ではあまり必要ないが、一応③より細菌感染が、⑨より胆道系疾患が除外されている。

【選択肢考察】
a IgA血管炎を疑った際に確認する(第VIII因子ではなく第XIII因子なので、VとXの読み間違えに注意)。
b Behçet病を疑った際に確認する。
c 正しい。成人Still病ではフェリチンの高度上昇がみられる。
d 溶血性疾患を疑った際に確認する。
e 血清アミロイドAから作られたアミロイドが全身臓器に沈着するとアミロイドーシスをきたす。が、血清アミロイドA蛋白の測定はアミロイドーシスの診断用というより、むしろ感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患で炎症の度合いをみるために行われる。簡単に言ってしまうと、CRPのような位置づけであり、何かしらの疾患の診断に特異的な項目ではない。

正答率:93%

テーマ:成人Still病で確認すべき検査値

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