117D40

13歳の男子。運動後の呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。昨日、給食でうどんを食べた後、午後1限目の体育で持久走をしたところ、全身の蕁麻疹、気分不快、咳嗽、喘鳴および呼吸困難が出現したため救急搬送され治療を受けた。1週間前にも同様のエピソードがあったが食事制限は行われていなかった。白血球6,700(好酸球5%)。IgE 740IU/mL(基準170以下)。プリックテスト:コムギ抗原液のみ強陽性。
この患者に対する指導として最も適切なのはどれか。
「運動をしてはいけません」
「小麦の完全除去が必要です」
「抗ヒスタミン薬を登校前に服用してください」
「アドレナリン自己注射製剤を携帯しましょう」
「運動前にβ2刺激薬を吸入すれば問題ありません」

解答: d

117D40の解説

【プロセス】
①給食でうどんを食べた後、持久走をしたところ、全身の蕁麻疹、気分不快、咳嗽、喘鳴および呼吸困難が出現
②1週間前にも同様のエピソード
③IgE上昇
④プリックテストにてコムギ抗原液のみ強陽性
☞①②はあまりにも特徴的な臨床像であり、診断は平易。食物依存性運動誘発性アナフィラキシー〈FDEIA〉である。③のI型アレルギー背景、④の小麦アレルギーも合致する。

【選択肢考察】
a 食直後の運動がNGとなるわけであり、一般的にすべての運動を禁止する必要はない。
b 小麦を摂取しても運動しなければよいわけで、完全除去までは必要ない。
c 抗ヒスタミン薬の予防内服が有効、というエビデンスはない。
d 正しい。FDEIAはアナフィラキシーショックにより、最悪死に至りかねない危険な病態である。外食時など小麦類が含まれていると知らずに摂取してしまうこともあるわけで、いつ発作が起こっても大丈夫なようにアドレナリン自己注射製剤の携帯が推奨される。
e β2刺激薬の予防吸入が有効、というエビデンスはない。

正答率:95%

テーマ:食物依存性運動誘発アナフィラキシー〈FDEIA〉患者に対する指導

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