117D24

10歳の男児。繰り返す鼻出血と皮下出血を主訴に母親に連れられて来院した。乳児期から同様の症状を繰り返しており、鼻出血は数時間以上止血困難なことがたびたびある。父親も出血傾向があるという。意識は清明。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に紫斑を認める。血液所見:赤血球328万、Hb 10.2g/dL、Ht 31%、白血球8,400、血小板35万、出血時間10分以上(基準7分以下)、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 50.3秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン280mg/dL(基準186~355)、血清FDP 5μg/mL(基準10以下)。ADP血小板凝集能は正常。
最も考えられるのはどれか。
血友病A
単純性紫斑
血小板無力症
ビタミンK 欠乏症
von Willebrand病

解答: e

117D24の解説

【プロセス】
①繰り返す鼻出血と皮下出血
②乳児期から同様の症状を繰り返す
③父親も出血傾向
④出血時間延長
⑤PT-INR正常
⑥APTT延長
⑦ADP血小板凝集能は正常
☞①〜③より遺伝性の出血傾向を考慮する。④⑥より1次止血も2次止血も双方障害されるパターン。このパターンとして代表的なのはvon Willebrand病と播種性血管内凝固〈DIC〉の2つであるが、DICであれば⑤が矛盾する。von Willebrand病を考えたい。あとは④〜⑦の情報を頼りに、誤選択肢を切っていけばよい。

【選択肢考察】
a 血友病Aであれば出血時間は正常のはず。
b 単純性紫斑であれば出血時間もAPTTも正常のはず。
c 血小板無力症であればAPTTは正常のはず。また、ADP血小板凝集能が低下する。
d ビタミンK 欠乏症であれば出血時間は正常のはず。また、PTが延長する。
e 正しい。上記の通り。

正答率:92%

テーマ:von Willebrand病の診断

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