117D22

65歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。最近ふらつくことが多くなり、家族に顔色が悪いことを指摘されるようになった。ふらつきは日中は目立たないが、夕方から夜に、特に暗い場所でひどくなる。55歳時に胃癌で胃全摘術を受けた。再発がないため外科通院を5年前から中断していた。脈拍96/分、整。血圧118/76mmHg。血液所見:赤血球280万、Hb 10.2g/dL、MCV 114fL、白血球4,800、血小板21万。頭部MRIで異常所見を認めない。
この患者の神経所見として正しいのはどれか。
側方注視時に左右に分離する複視を認める。
鼻指鼻試験で測定障害を呈する。
上肢Barré徴候が陽性である。
Romberg徴候が陽性である。
アキレス腱反射が亢進する。

解答: d

117D22の解説

【プロセス】
①10年前に胃癌で胃全摘術
②最近ふらつく(夕方〜夜、特に暗い場所でひどくなる)
③家族に顔色が悪いことを指摘
④赤血球280万・Hb 10.2g/dL・MCV>100fL
⑤外科通院を5年前から中断
☞③は貧血によるものであろう。④より大球性貧血と分かる。①からの大球性貧血ということでビタミンB12欠乏が考えやすい。ビタミンB12の枯渇には約5年かかるとされ、⑤はそれを意図した記載と思われる。残るは②であるが、胃全摘&ビタミンB12欠乏からのふらつき、ときたら亜急性連合性脊髄変性症〈SCDC〉であろう。SCDCでは側索(錐体路)と後索(深部覚)が障害されるが、側索(錐体路)障害については記載がないため、本症例では後索(深部覚)のみが障害されていると判断したい。

【選択肢考察】
a 動眼神経や外転神経、小脳障害でみられる。
b 小脳失調でみられる。
c 錐体路障害でみられうるが、本症例では錐体路障害について記載がないため正解とはしない。
d 正しい。「夕方〜夜、特に暗い場所でひどくなるふらつき」がみられており、視覚情報を奪った際に悪化することが分かる。そのため、Romberg徴候陽性が予想される。
e 錐体路障害でみられうるが、本症例では錐体路障害について記載がないため正解とはしない。

正答率:98%

テーマ:亜急性連合性脊髄変性症の神経所見

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