117D17

32歳の女性。下腹部痛と不妊を主訴に来院した。月経周期は30日型、整、持続5日間。2年前から月経痛に対して市販の鎮痛薬を服用しているが、6か月前から効果が不十分となり、月経時以外にも下腹部痛を自覚するようになった。3年前に結婚して以来、挙児を希望しているが妊娠はしていない。身長165cm、体重60kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。内診で子宮の腫大はないが可動性は不良である。両側付属器は腫大し、Douglas窩に有痛性の硬結を触知する。血液所見:赤血球390万、Hb 10.8g/dL、Ht 36%、白血球5,200、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、AST 28U/L、ALT 22U/L、CA19-9 32U/mL(基準37以下)、CA125 52U/mL(基準35以下)。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像を別に示す。
治療として適切なのはどれか。
腫瘤摘出術
嚢胞穿刺吸引術
両側付属器摘出術
子宮全摘術+両側付属器摘出術
子宮全摘術+両側付属器摘出術+大網切除術

解答: a

117D17の解説

【プロセス】
①2年前から月経困難症
②月経時以外にも下腹部痛
③3年前に結婚して以来、挙児を希望しているが妊娠はしていない
④内診で子宮の腫大はないが可動性は不良である。両側付属器は腫大し、Douglas窩に有痛性の硬結を触知
⑤CA125高値
⑥骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像にて子宮前面に単房性の嚢胞性病変
☞月経困難症(①)とその増悪(②)、さらには不妊(③)がみられている。④からは骨盤内の癒着が読み取れる。⑤から腫瘍性病変を意識し、⑥より卵巣腫瘍と分かる。全情報を統合するに、子宮内膜症性嚢胞〈チョコレート嚢胞〉が考えやすい。選択肢考察に移る前に、③を再度確認しておこう。「挙児を希望している」とのことで、子宮や付属器の摘出を行ってはならない。

【選択肢考察】
a 正しい。鎮痛薬等による保存的治療に限界がみられており、腫瘤摘出術を行う。
b 内容物の穿刺吸引のみでは遺残・再発しやすく、治療効果に乏しい。
c 挙児希望があるため、★禁忌★。
d 挙児希望があるため、★禁忌★。
e 挙児希望があるため、★禁忌★。

正答率:72%

テーマ:子宮内膜症性嚢胞〈チョコレート嚢胞〉の治療

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