117D16

51歳の女性。倦怠感を主訴に来院した。1週間前から倦怠感が出現し、昨日から尿の色が濃くなったため受診した。飲酒は機会飲酒。常用している薬剤や健康食品はない。意識は清明。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球325万、Hb 12.0g/dL、Ht 32%、白血球5,300、血小板27万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白8.4g/dL、アルブミン4.2g/dL、IgG 3,131mg/dL(基準960~1,960)、IgM 112mg/dL(基準65~350)、総ビリルビン4.8mg/dL、直接ビリルビン3.2mg/dL、AST 712U/L、ALT 824U/L、ALP 132U/L(基準38~113)、γ-GT 342U/L(基準8~50)。免疫血清学所見:IgM型HA抗体陰性、HBs抗原陰性、IgM型HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、HCV-RNA陰性、抗核抗体640倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体陰性。肝生検組織で門脈域の拡大と同部位に形質細胞を含む単核球細胞浸潤を認める。
治療薬として適切なのはどれか。
グリチルリチン
インターフェロン
核酸アナログ製剤
副腎皮質ステロイド
直接作用型抗ウイルス薬〈direct acting antivirals〉

解答: d

117D16の解説

【プロセス】
①51歳の女性
②1週間前から倦怠感が出現
③昨日から尿の色が濃くなった・眼球結膜に軽度黄染
④IgG高値
⑤抗核抗体640倍
⑥IgM基準値内・抗ミトコンドリア抗体陰性
⑦肝生検組織で門脈域の拡大と同部位に形質細胞を含む単核球細胞浸潤
☞中年女性(①)の倦怠感(②)と黄疸(③)。⑥より原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉は否定され、④⑤より自己免疫性肝炎〈AIH〉が考えやすい。⑦はAIHでみられるinterface肝炎の像である。

【選択肢考察】
a 肝庇護薬であり、肝障害への対症療法的に用いられる。ゆえにAIHに対して悪影響はないのだろうが、根本的な治療ともならず、他選択肢に正答を譲ることとなる。
b B型肝炎の治療薬である。
c B型肝炎の治療薬である。
d 正しい。AIHの第一選択薬は副腎皮質ステロイドである。
e C型肝炎の治療薬である。

正答率:98%

テーマ:自己免疫性肝炎〈AIH〉の治療薬

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