117C49

10歳の男児。左大腿部痛を主訴に父親に連れられて来院した。すべり台から誤って転落し受傷した。身長150cm、体重45kg。歩行は不能で左大腿部に腫脹を認めた。左大腿骨エックス線写真で大腿骨骨幹部骨折を認め、受傷翌日、観血的骨接合術が行われた。術後経過は順調で、術後8週が経過し、左大腿部に異常所見を認めない。来院時と術後8週の左大腿骨エックス線写真を別に示す。
術後8週の骨折部の状態で正しいのはどれか。
骨腫瘍が発生している。
仮骨が形成されている。
腐骨が形成されている。
異所性骨化が生じている。
阻血性壊死が生じている。

解答: b

117C49の解説

【プロセス】
①すべり台から誤って転落し受傷
②左大腿骨エックス線写真で大腿骨骨幹部骨折(来院時の提示された画像も同所見)
③術後経過は順調・左大腿部に異常所見なし
④術後8週の左大腿骨エックス線写真
☞①からの②という流れはよいだろう。本問では、しばらく経ってからの④を読影する能力が試されている。④では骨折部が髄内で金属固定され、周囲に仮骨の形成がみられる。治癒経過は順調なようだ。読影がよく分からずとも、③の記載から、病的所見がみられている可能性は低く、ほとんどの受験生は正答にたどり着けたようだ。

【選択肢考察】
a 骨腫瘍に伴って生じる骨膜反応と少し似ている画像ではあるが、異なる。そもそも、この臨床文の雰囲気でいきなり腫瘍が発生する、という流れはさすがに違和感が強い。
b 正しい。上記の通り。
c 腐骨は慢性骨髄炎でみられる。
d 異所性骨化とは、筋肉や靭帯といった、本来骨ではない部位に骨形成がみられる病態。本症例は骨折の治癒経過において、「(元々の骨の場所に)再度骨を作ろう!」というメカニズムが体内で働いているわけであり、異所性骨化とは呼ばない。
e 阻血性壊死が生じているのであれば、疼痛や皮膚の色調変化など、病的な所見が他にみられるはず。

正答率:94%

テーマ:術後8週の骨折部の状態

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