117C50

36歳の女性。多発関節痛を主訴に来院した。3か月前から微熱が出現し、脱毛が増加した。2か月前から両手のこわばり、関節痛が出現した。3週間前から両手指に紅斑が出現し、先週から38℃台の発熱があり紹介受診した。体温37.4℃。脈拍96/分、整。血圧108/58mmHg。前頭部に頭髪の減少を認める。顔面に紅斑を認めない。硬口蓋粘膜に発赤とびらんを認める。両側頸部、腋窩に径1cm未満の軽度圧痛を伴うリンパ節を触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。両手指に凍瘡様皮疹を認める。右手関節と両手指近位指節間関節に腫脹と圧痛を認める。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血2+、沈渣に赤血球10~19/HPF、変形赤血球を認める。血液所見:赤血球409万、Hb 10.5g/dL、Ht 34%、白血球2,800(好中球75%、単球7%、リンパ球18%)、血小板9.6万、PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)、APTT 43秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン248mg/dL(基準186~355)。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン3.0g/dL、AST 23U/L、ALT 15U/L、LD 237U/L(基準120~245)、CK 26U/L(基準30~140)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖93mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
最も考えられるのはどれか。
皮膚筋炎
Behçet病
関節リウマチ
Sjögren症候群
全身性エリテマトーデス

解答: e

117C50の解説

【プロセス】
①36歳の女性
②微熱・脱毛・両手のこわばり・関節痛・両手指に紅斑(凍瘡様皮疹)
③硬口蓋粘膜に発赤とびらん
④軽度圧痛を伴うリンパ節触知
⑤尿蛋白2+・潜血2+(沈渣に赤血球10~19/HPF)・変形赤血球
⑥白血球2,800・血小板9.6万
⑦PT正常・APTT延長
⑧アルブミン3.0g/dL
☞①の背景からの②〜④の症候、腎症(⑤⑧)、血球減少傾向(⑥)より全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断となる。SLEには抗リン脂質抗体症候群〈APS〉を合併しやすく、⑦はそれを示唆している可能性が高い。過去問で幾度となく問われているタイプの問題だが、「抗ds-DNA抗体」のような特異的な情報を少し隠しただけで、正答率は75%程度。ちょうど合否を分けるレンジの出題となった。このレベルである。このレベルを確実に仕留めることが受験生に要求されている。

【選択肢考察】
a 皮膚筋炎では筋力低下やCK上昇を認めることが多い。また、一般に腎障害はみられない。
b ③がBehçet病におけるアフタ性潰瘍である可能性は否めないが、その他の結節性紅斑やぶどう膜炎、外陰部潰瘍といった情報に欠けており、考えにくい。
c 関節リウマチでは血球減少を伴わない。また、CRP上昇がみられやすい。
d Sjögren症候群では乾燥症状が前面にみられる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:75%

テーマ:全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断

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