117C40

6月上旬のある日。午後1時過ぎに、近所の小学校の校庭で遊んでいた児童数名が、頭痛、咽頭痛、咳、強い目の刺激を訴えて来院した。いずれの児童も意識清明、体温は36℃台。眼球結膜に軽度発赤を認める。発汗を認める。天気は快晴、気温31.2℃、湿度60%、微風であった。小学校のある地域は、自動車の交通量が多く、市が指定するごみの焼却施設が10km離れたところにある。
原因として最も可能性の高いのはどれか。
輻射熱
一酸化炭素
ダイオキシン
微小粒子状物質
光化学オキシダント

解答: e

117C40の解説

【プロセス】
①6月上旬のある日
②午後1時過ぎ
③小学校の校庭で遊んでいた児童数名が、頭痛、咽頭痛、咳、強い目の刺激
④体温は36℃台
⑤眼球結膜に軽度発赤
⑥小学校のある地域は、自動車の交通量が多い
⑦市が指定するごみの焼却施設が10km離れたところにある
☞①②(夏の正午ころ)の状況設定、③⑤の症状(粘膜刺激症状)から光化学オキシダントが原因として考えやすい。④から熱中症は否定的。⑥⑦は一酸化炭素やダイオキシン、微小粒子状物質への誘導なのかもしれないが、この2情報だけを満たす箇所など日本国内いたるところにあり、可能性の観点から完全否定することはできないが、かといって最も合致するとは言い難い。実際、本問の正答率は90%を超えており、最終文に惑わされた者は少なかった。

【選択肢考察】
a 輻射熱が強い場合、熱中症を生じやすい。が、冒頭で述べたように熱中症は否定的。
b 一酸化炭素中毒では頭痛や倦怠感が出現するも、粘膜刺激症状(咽頭痛や咳・目の刺激)は非典型的。この選択肢を正解にするのであれば、ガソリンエンジンやストーブ、炭の不完全燃焼といったキーワードがほしいところだ。
c たしかに自動車の排ガスやごみの焼却施設からダイオキシンは発生するが、冒頭で述べたように本問の誘導だけからダイオキシンに絞り込むことはできない。
d たしかに自動車の排ガス等から微小粒子状物質は発生するが、冒頭で述べたように本問の誘導だけから微小粒子状物質に絞り込むことはできない。また、微小粒子状物質は冬に多くなるため、夏という設定も合致しない。
e 正しい。状況設定も症状も光化学オキシダントによるものが最も合致する。

正答率:91%

テーマ:光化学オキシダントによる健康被害の診断

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