117B49

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
65歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:1時間前、自転車で走行中に転倒した。左胸部を強打し、直後から呼吸困難、胸痛および血痰が出現した。当初、痰にわずかに血が混じる程度であったが、徐々に出血の量と回数が増加し呼吸困難も増悪したため、救急外来を受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母が高血圧症。
現 症:意識は清明。身長159cm、体重70kg。体温37.2℃。脈拍104/分、整。血圧96/60mmHg。呼吸数22/分。SpO2 94%(room air)。皮膚は左側胸部に10×5cmの出血斑を認める。眼瞼結膜は貧血様である。左側胸部に圧痛を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は左上前胸部で減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に異常を認めない。胸部エックス線写真で左肺の虚脱と左胸腔に胸水の貯留を認めた。
次に行う検査として正しいのはどれか。
胸部CT
胸部MRI
FDG-PET
肺動脈造影検査
肺血流シンチグラフィ

解答: a

117B49の解説

【プロセス】
①左胸部を強打し、直後から呼吸困難、胸痛および血痰
②皮膚は左側胸部に10×5cmの出血斑
③眼瞼結膜は貧血様
④呼吸音は左上前胸部で減弱
⑤胸部エックス線写真で左肺の虚脱と左胸腔に胸水の貯留
☞②は①の打撃の強さを物語っている。③は出血によるものだろう。①④⑤より、気胸と血胸とが疑われる。

【選択肢考察】
a 正しい。すでに⑤で大まかに診断が可能であるが、衝撃が強いことが読み取れ、肺実質など周辺臓器の精査も行いたい。この状況下には胸部CTがうってつけである。
b 胸部MRIでも内臓の評価は可能であるが、CTに比べ迅速さに欠けるため、救急外傷では一般的に第一選択として選ばれることはない。
c 腫瘍の広がりなどを確認する検査である。
d 肺動脈に損傷があった場合、その造影にて評価が可能であるが、肺動脈がダメージを受けていると積極的に読み取れる情報が現時点では存在しない。そのため、まずは簡便に実施可能なCTが優先される。
e 肺血栓塞栓症の検査である。

正答率:97%

テーマ:【長文1/2】胸部エックス線施行後の気胸に対する検査

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