117B48

血液検査を行ったところ、以下の結果が得られた。
血液所見:赤血球371万、Hb 8.5g/dL、Ht 29%、白血球4,100、血小板29万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 32U/L、ALT 32U/L、LD 173U/L(基準120~245)、ALP 106U/L(基準38~113)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖93mg/dL、総コレステロール189mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.7mg/dL。
この患者で認めるのはどれか。
血清鉄高値
網赤血球数低値
血清フェリチン低値
血清不飽和鉄結合能低値
トランスフェリン飽和度高値

解答: c

117B48の解説

【プロセス】
月経過多による貧血(「内診で、径10cmの腫瘤を触知する」という記載からは子宮筋腫の存在が考えやすいか)であり、鉄欠乏性貧血と考えられる。実際にMCVを求めると、29÷371×1000≒78.2と小球性である。

【選択肢考察】
a 鉄欠乏であるため、血清鉄は低値となる。
b 一般に鉄欠乏性貧血では材料である鉄が不足しているため、赤血球産生が低下し、幼若な赤血球である網赤血球も低値となる。ゆえに本選択肢を選び、失点してしまう者が多いかと懸念されたが、蓋を開けてみれば約5%しかいなかった。他にもっと的確な選択肢があったためかもしれない。さて、ではどうして本選択肢は正解にならないのだろうか。本患者の赤血球数は371万と基準値を少し下回る程度だ。ゆえにまだ赤血球産生は保たれていると考えられる。よって、網赤血球数も基準値内にある可能性が高い。病名ではなく、患者をみる。この姿勢を大切にしてほしい。
c 正しい。鉄欠乏により、貯蔵鉄であるフェリチンも低値となる。
d 一般に鉄欠乏性貧血では血清不飽和鉄結合能〈UIBC〉は高値を呈する。
e トランスフェリンは鉄の担体である。鉄が不足していれば、その担体の飽和度が低くなることは想像に難くあるまい。

正答率:93%

テーマ:【長文2/2】失血による鉄欠乏性貧血の検査所見

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