117B26

86歳の女性。10年前に脳梗塞を発症して寝たきりとなった。重度の認知症があり、自宅で家族が介護してきたが、四肢関節の拘縮が徐々に進行し、最近は体位変換も困難である。訪問診療に訪れたところ、和室の布団に右側臥位で寝ている。股関節は90度屈曲位で拘縮しており、うなり声をあげている。身長154cm、体重42kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧122/68mmHg。呼吸数18/分。
診察に際して正しいのはどれか。
表情をみながら触診する。
浮腫の有無は左半身で判断する。
股関節を完全伸展させてから診察する。
声を出さないよう指示してから聴診する。
打診は疼痛が疑われる部位に繰り返し行う。

解答: a

117B26の解説

【プロセス】
①高齢女性
②10年前に脳梗塞を発症して寝たきり
③重度の認知症
④四肢関節の拘縮が徐々に進行
⑤和室の布団に右側臥位で寝ている
⑥股関節は90度屈曲位で拘縮
☞本文と選択肢を照らし合わせて回答するタイプの問題。

【選択肢考察】
a 正しい。③より通常のコミュニケーションは困難と予想される。そのため、疼痛の有無など、表情をみながら触診するとよい。
b 水分は重力に従って、床に近い部分に貯留しやすい。⑤より、浮腫の有無は右半身で判断すべき。
c ⑥をみるに、股関節を完全伸展させるのは厳しそうだ。
d ③より、「声を出さないよう指示」が通らない可能性が高い。
e 苦痛を増幅させるだけの行為であり、望ましくない。

正答率:100%

テーマ:意思疎通が困難な認知症患者の診察に際して

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし