117A73

50歳の男性。動悸と息切れを主訴に来院した。高校生のころ、学校健診で心雑音を指摘され、心房中隔欠損症と診断されたが、投薬治療は受けていない。半年前から動悸と息切れを自覚するようになり、当院を受診した。脈拍80/分、整。血圧122/78mmHg。SpO2 97%(room air)。呼吸音に異常を認めない。経胸壁心エコー検査の傍胸骨短軸像(大動脈弁レベル)を別に示す。心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧30mmHg、Qp/Qs 3.1であった。
この患者の病態で正しいのはどれか。2つ選べ
肺高血圧を認める。
心房細動を合併しやすい。
肺血流量は体血流量より減少している。
抜歯時に感染性心内膜炎の予防的抗菌薬投与が必要である。
提示した心エコー図では右房から左房への血流が認められる。

解答: a,b

117A73の解説

【プロセス】
①50歳の男性
②高校生のころ、学校健診で心雑音を指摘され、心房中隔欠損症と診断
③半年前から動悸と息切れ
④経胸壁心エコー検査の傍胸骨短軸像にて左房→右房へのシャント
⑤心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧30mmHg、Qp/Qs 3.1
☞④より心房中隔欠損症〈ASD〉の診断は平易。①〜③の経過も矛盾しない。ポイントは⑤。肺動脈圧は20/8mmHg程度であり、平均30mmHgというのは高値。またQp/Qs 3.1は肺血流が非常に多くなっていることを意味する。

【選択肢考察】
a 正しい。⑤より肺高血圧の存在が確認できる。
b 正しい。左房への慢性的負荷により、心房細動を合併しやすい。
c 肺(p)血流量が体(s)血流量より減少しているのであれば、Qp/Qsは1未満となるはず。
d ASDには感染性心内膜炎〈IE〉を合併しにくいことが知られている。
e 提示された心エコー図では左房から右房への血流が認められる。

正答率:54%

テーマ:心房中隔欠損症〈ASD〉の病態について

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