117A72

5歳の男児。今後の治療方針を決定するために心臓カテーテル検査を受けることになった。1歳6か月健診で心雑音を指摘され、心エコー検査で心疾患と診断されたが、これまでは心疾患による症状を認めず、経過を観察されていた。心臓カテーテル検査で測定した心腔内酸素飽和度は上大静脈が82.8%、下大静脈が86.8%、右心房が84.5%、右心室が83.9%、右肺動脈が90.2%、左肺動脈が92.6%、左心室が98.9%、大動脈が98.8%であった。
この児の心疾患として最も考えられるのはどれか。
動脈管開存症
Fallot四徴症
心房中隔欠損症
心室中隔欠損症
房室中隔欠損症〈心内膜床欠損症〉

解答: a

117A72の解説

【プロセス】
①5歳の男児
②1歳6か月健診で心雑音を指摘され、心エコー検査で心疾患と診断
③心腔内酸素飽和度は右心室(83.9%)→右肺動脈(90.2%)でstep up
☞①②からは具体的な先天性心疾患の名称特定には至らないが、③より左心系から肺動脈へのシャントがあると分かる。与えられた選択肢から、肺動脈へ酸素richな血流が流れ込む疾患を絞り込もう(臨床文からチアノーゼは認めていないので選択肢考察においてはEisenmenger症候群については触れていない)。

【選択肢考察】
a 正しい。動脈管開存症〈PDA〉では肺静脈→肺動脈へのシャントあり。
b Fallot四徴症〈TOF〉では心室中隔欠損症〈VSD〉を介して右→左シャントがあるため、左室ないし大動脈での酸素飽和度の低下がみられる。
c 心房中隔欠損症〈ASD〉では左房→右房へのシャントがある。
d 心室中隔欠損症〈VSD〉では左室→右室へのシャントがある。
e 房室中隔欠損症〈心内膜床欠損症〉〈ECD〉では左房→右房と左室→右室のシャントがある。

正答率:92%

テーマ:動脈管開存症〈PDA〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし