117A66

日齢5の男児。胆汁性嘔吐と血便のため産科診療所から救急車で搬入された。在胎39週、出生体重3,300gで出生した。生後1日目から母乳を開始し、生後3日目ごろから哺乳後の嘔吐を認めるようになった。昨夜から胆汁性嘔吐が出現し、早朝に血便を認め、ぐったりしてきたため救急搬送された。身長52cm、体重3,100g。体温37.2℃、心拍数140/分、整。血圧60/48mmHg、呼吸数40/分。大泉門の軽度陥凹を認める。血液所見:赤血球560万、Hb 18.5g/dL、Ht 48%、白血球11,000、血小板18万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 30秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.0g/dL、AST 40U/L、ALT 10U/L、クレアチニン0.5mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 98mEq/L、尿素窒素7.0mg/dL。CRP 0.1mg/dL。上部消化管造影検査で十二指腸より先に造影剤が通過しなかった。注腸造影像(A)と腹部超音波像(カラードプラ)(B)を別に示す。
適切な治療はどれか。
抗菌薬投与
新鮮凍結血漿投与
高圧浣腸
イレウス管挿入
緊急開腹手術

解答: e

117A66の解説

【プロセス】
①日齢5の男児
②胆汁性嘔吐と血便
③大泉門の軽度陥凹
④上部消化管造影検査で十二指腸より先に造影剤が通過しなかった
⑤注腸造影像(A)にて上行結腸が左側に偏位
⑥腹部超音波像にて上腸間膜動脈〈SMA〉周囲に上腸間膜静脈〈SMV〉が渦を巻くように取り囲んでいる(whirlpool sign)
☞①②より新生児に好発する消化管疾患を鑑別する運びとなる。③より脱水もみられ、すみやかな対応が必要そうだ。④では十二指腸閉塞が疑われ、⑤から腸回転異常症を背景とした中腸軸捻転症の診断となる。

【選択肢考察】
a 細菌感染ではないため、抗菌薬投与は無効。
b 播種性血管内凝固〈DIC〉などに対し、凝固因子を補う治療。
c 腸重積症の治療。
d 腸閉塞(イレウス)の治療。
e 正しい。緊急開腹手術を行い、急ぎ捻転を解除する必要がある。

正答率:93%

テーマ:中腸軸捻転症の治療

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