117A65

56歳の女性。心窩部痛を主訴に来院した。半年前から心窩部に違和感があり、持続するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長162cm、体重61kg。眼瞼結膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球399万、Hb 11.5g/dL、Ht 35%、白血球4,300、血小板17万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 20U/L、ALT 16U/L、LD 184U/L(基準120~245)、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、血糖93mg/dL。CRP 0.2mg/dL。上部消化管内視鏡像(A)と生検組織像(H-E染色、KIT免疫染色、αSMA〈平滑筋アクチン〉免疫染色)(B)を別に示す。腹部CTで腫瘍径は5.5cm、他臓器への転移を認めなかった。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
放射線療法
胃部分切除術
殺細胞性薬による治療
内分泌(ホルモン)薬による治療

解答: c

117A65の解説

【プロセス】
①半年前から心窩部に違和感
②上部消化管内視鏡像(A)にてbridging foldを伴う腫瘤(腫瘍径は5.5cm)
③生検組織像(B):H-E染色にて紡錘形細胞の束状配列、KIT免疫染色にて陽性、αSMA免疫染色は陰性
④腹部CTで他臓器への転移なし
☞①より胸腹部疾患を疑うが、②が過去問でも頻出の典型画像であり、GISTの想起は容易。③もGISTの特徴に矛盾しない(αSMA免疫は平滑筋腫で陽性となるため、ここでは平滑筋腫の可能性を除外している)。④よりope可能と判断しよう。

【選択肢考察】
a 有症状であり、経過観察はしない。
b 放射線療法は転移・再発時に行われることがある。
c 正しい。転移はなく、胃部分切除術が第一選択となる。
d 殺細胞性薬は転移・再発時に行われることがある。
e 一般にGISTに対して内分泌(ホルモン)薬による治療は適用とならない。

正答率:97%

テーマ:GISTへの対応

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