117A60

67歳の女性。倦怠感を主訴に来院した。約1か月前から疲れやすくなり、症状が改善しないため受診した。意識は清明。身長149cm、体重45kg。脈拍72/分、整。血圧144/88mmHg。心尖部にLevine 3/6の拡張期雑音を聴取し、心雑音の強さは体位で変化した。呼吸音に異常を認めない。心エコー検査で左室駆出率は正常範囲であったが、左房内に可動性のある腫瘤を認め、拡張期には腫瘤が僧帽弁口を塞ぐような所見を認めた。胸部造影CT(A)を別に示す。入院後、腫瘤摘除術が施行された。術中の写真(B)を別に示す。
この患者の入院時に認められる所見で可能性が低いのはどれか。
発熱
息切れ
関節痛
体重減少
頸静脈の虚脱

解答: e

117A60の解説

【プロセス】
①倦怠感
②心尖部にLevine 3/6の拡張期雑音
③心雑音の強さは体位で変化
④心エコー検査で左房内に可動性のある腫瘤&拡張期には腫瘤が僧帽弁口を塞ぐような所見
⑤胸部造影CT(A)にて左房内の腫瘤陰影
⑥腫瘤摘除術中の写真(B)では中央部に暗赤色のゼラチン様腫瘍
☞④⑤⑥より左房粘液腫の診断は容易だろう。粘液腫が僧帽弁口を塞ぐことで②の僧帽弁狭窄症〈MS〉様雑音がみられ、腫瘍の移動により③がみられる。左房粘液腫では炎症性物質が血中で増加し、①のような所見がみられやすい。

【選択肢考察】
a 発熱など炎症による所見がみられやすい。
b 僧帽弁狭窄症〈MS〉様の病態のため、左房圧が上昇し、肺うっ血を呈し、息切れがみられうる。
c 関節痛など炎症による所見がみられやすい。
d 体重減少など炎症による所見がみられやすい。
e 誤り。頸静脈の虚脱は脱水等でみられる。むしろ心不全に至ったケースでは頸静脈が怒張傾向となる。

正答率:84%

テーマ:左房粘液腫の所見

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