117A56

26歳の男性。腹痛を主訴に来院した。6年前から腹痛と下痢を自覚するようになった。就職後に症状が強くなり、遅刻や欠勤をするようになり受診した。その他の症状として、半年前から①食べ過ぎたときに胸やけがある。家族歴に特記すべきことはない。身長175cm、②体重67kg(1年間で4kg増加)。体温36.0℃。③脈拍96/分、整。血圧120/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、下腹部に軽度の圧痛を認める。肝・脾を触知しない。④腸蠕動音は軽度亢進している。血液所見:赤血球505万、Hb 15.0g/dL、Ht 45%、白血球7,300、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白7.9g/dL、アルブミン5.0g/dL、AST 17U/L、ALT 13U/L、LD 130U/L(基準120~245)、ALP 73U/L(基準38~113)、γ-GT 15U/L(基準8~50)、アミラーゼ60U/L(基準37~160)、CK 61U/L(基準30~140)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸4.8mg/dL、血糖98mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.1mg/dL。⑤便潜血検査陽性。原因検索のために下部消化管内視鏡検査を行うこととした。
下線部のうち、この患者で下部消化管内視鏡検査を行う根拠となるのはどれか。

解答: e

117A56の解説

【プロセス】
①6年前から腹痛と下痢
②就職後に症状が強くなり、遅刻や欠勤
☞長期にわたる消化管症状がみられており(①)、②からは過敏性腸症候群など機能性疾患の可能性が高い。

【選択肢考察】
a 胃食道逆流症〈GERD〉の症候である。
b ストレスによる食べ過ぎであろうか。いずれにせよ下部消化管内視鏡検査を行おうとは思わない所見である。
c 100/分は切っており、頻脈傾向といった印象。若いこともあり、病院で診察を受ける際に緊張をするだけでもこのくらいの脈拍にはなる。病的意義は考えにくい。
d 食べ過ぎなどでみられる所見に矛盾しない。「軽度」亢進とのことで、あえて本選択肢を選ぶ必要はなかろう。
e 正しい。便潜血陽性の場合、大腸癌等悪性病変の可能性を考え、下部消化管内視鏡検査の適応となる。

正答率:100%

テーマ:下部消化管内視鏡検査を行う根拠

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