117A55

42歳の男性。胸腺摘出術後で入院中である。浸潤性胸腺腫で前縦隔から左肺門部にかけて腫瘍が浸潤しており、1週間前に胸腺摘出術を施行した。術後から息が深く吸えないことを訴えている。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧124/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dL、Ht 40%、白血球7,300、血小板15万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 20U/L、ALT 25U/L、LD 185U/L(基準120~245)、ALP 110U/L(基準38~113)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 101mEq/L。CRP 2.0mg/dL。術前後の胸部エックス線写真を別に示す。
原因として考えられるのはどれか。
食道損傷
横隔膜損傷
横隔神経麻痺
反回神経麻痺
食道裂孔ヘルニア

解答: c

117A55の解説

【プロセス】
①胸腺摘出術後
②術後から息が深く吸えない
③術前後の胸部エックス線写真にて術後に左横隔膜の挙上
☞①より手術の合併症であることが予想できる。ポイントは③であろう。横隔膜を支配する神経は横隔神経であるため、手術で損傷してしまったのだろう。これにより横隔膜が動かしにくくなり、②の症候がみられている。

【選択肢考察】
a 食物摂取に支障をきたすも、呼吸困難はみられない。
b 胸腺摘出術で横隔膜を直接タッチすることは考えにくい。
c 正しい。上記の通り。
d 反回神経麻痺では嗄声が出現する。
e 新生児の横隔膜ヘルニアなど一部例外を除き、食道裂孔ヘルニア単独で呼吸障害がみられる可能性は低い。食道裂孔ヘルニアの合併症としては胃食道逆流症〈GERD〉が有名だ。

正答率:92%

テーマ:横隔神経麻痺の診断

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