117A53

82歳の女性。咽頭痛を主訴に来院した。3日前から咽頭痛が出現し、昨日から食事摂取が不良となったため、息子に付き添われて受診した。糖尿病でDPP-4阻害薬を内服している。喫煙歴と飲酒歴はない。体温37.6℃。脈拍92/分、整。血圧118/76mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。血液所見:赤血球456万、Hb 11.9g/dL、Ht 36%、白血球14,900(好中球88%、リンパ球7%、単球5%)、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL、アルブミン3.5g/dL、AST 10U/L、ALT 8U/L、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 9.6mg/dL。CRP 29mg/dL。咽頭と喉頭の内視鏡像(A、B)、頭頸部造影CT水平断像(C)及び冠状断像(D)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
胃瘻造設
気管切開
水分制限
抗菌薬投与
切開排膿術

解答: d,e

117A53の解説

【プロセス】
①高齢者
②3日前から咽頭痛
③昨日から食事摂取が不良
④糖尿病で治療中
⑤白血球(好中球)とCRP高値
⑥咽頭内視鏡像(A)にて右軟口蓋の発赤腫脹と口蓋垂の左側偏位
⑦喉頭内視鏡(B)では声帯は保たれている
⑧頭頸部造影CT(C・D)では右口蓋扁桃外側に低吸収域(膿瘍腔と思われる)
☞①④(易感染性)の背景下に咽頭周囲の細菌感染(②③⑤)と思しき症候がみられている。⑥⑧より扁桃周囲膿瘍の診断。⑦(ないし画像D)にて声帯〜気道は保たれており、緊急の気道確保は必要なさそうだ。

【選択肢考察】
a 長期にわたり経口栄養摂取が困難な症例に有効。
b 上記の通り、現時点での気道確保は必要ない。
c 食事摂取が不良であり、脱水になっている可能性もある。水分制限はしない。
d 正しい。細菌感染に対し、抗菌薬投与を行う。
e 正しい。膿瘍を除去すべく、切開排膿術を行う。

正答率:98%

テーマ:扁桃周囲膿瘍の治療

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