117A51

76歳の女性。悪心と嘔吐を主訴に来院した。3か月前から悪心を自覚していた。その後嘔吐がはじまり、食事を摂取しなくても嘔吐するようになったため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴はない。身長150cm、体重37kg。脈拍68/分、整。血圧110/60mmHg。呼吸数14/分。上腹部正中に径10cmの辺縁不整な腫瘤を触知する。血液所見:赤血球392万、Hb 10.9g/dL、Ht 36%、白血球4,100、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 22U/L、ALT 8U/L、γ-GT 11U/L(基準8~50)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 131mEq/L、K 3.4mEq/L、Cl 96mEq/L、CEA 16.4ng/mL(基準5以下)、CA19-9 180U/mL(基準37以下)。腹部造影CTを別に示す。幽門狭窄を伴う胃癌と診断し、10日間の栄養投与後に手術を行うこととした。
手術までの栄養方法として適切なのはどれか。
末梢静脈栄養
栄養補助食品の経口摂取
経鼻胃管による経腸栄養
アルブミン製剤の静脈投与
中心静脈栄養による高カロリー輸液

解答: e

117A51の解説

【プロセス】
①悪心と嘔吐
②上腹部正中に径10cmの辺縁不整な腫瘤
③腫瘍マーカー(CEAとCA19-9高値)
④腹部造影CTにて幽門部に全周性の壁肥厚(腫瘍)
⑤幽門狭窄を伴う胃癌と診断
⑥10日間の栄養投与後に手術
☞⑤で既に診断はついており、①〜④も説明がつく。身長150cm、体重37kg(BMI 16.4)と栄養不足が読み取れるため、⑥の運びとなる。

【選択肢考察】
a 末梢静脈栄養単独では10日間におよぶ栄養投与を十分に行うことができない。
b ①より経口摂取は困難。
c 幽門狭窄がある以上、経鼻胃管による経腸栄養は困難。
d アルブミン以外にも糖質や電解質やビタミンなど様々な種類の栄養が必要となる。10日間をアルブミン製剤だけで乗り切るのは不可能。
e 正しい。中心静脈栄養による高カロリー輸液であれば手術へ向け、10日間の栄養投与が可能。

正答率:67%

テーマ:胃癌手術までの栄養方法

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