117A49

81歳の男性。もの忘れを主訴に来院した。5年前に妻を亡くしてから、一人暮らしとなった。年金で十分生活はできていて、身の回りのことは自分で行っていた。約2年前から、約束を忘れたり、同じ食材を何度も買ってきて冷蔵庫に詰め込んだりするようになった。心配した長男夫婦が勧めても適当にはぐらかして受診しなかったが、再三の説得により長男と受診した。既往歴に特記すべきことはない。診察時、疎通性は良好であるが答えられない質問になると、その場を取り繕う様子がみられた。Mini-Mental State Examination〈MMSE〉は18点(30点満点)で、時間の見当識と語想起の課題で失点が目立った。神経診察では、筋力低下、感覚障害、不随意運動および筋強剛はみられず、歩行も正常であった。血液生化学検査で異常を認めない。頭部MRIで年齢相応の脳萎縮を認める。脳血流SPECTを別に示す。
この患者の支援のために、まず申請するのはどれか。
介護認定
生活保護
身体障害者手帳
特別障害給付金
特定医療費支給認定(指定難病)

解答: a

117A49の解説

【プロセス】
①81歳の男性
②もの忘れ(MMSE 18点)
③年金で十分生活はできている
④身の回りのことは自分で行える
⑤筋力低下、感覚障害、不随意運動および筋強剛はみられず、歩行も正常
⑥脳血流SPECTにて頭頂葉、側頭葉、そして後部帯状回の血流低下
☞①②⑥よりAlzheimer型認知症を疑う。③④⑤は選択肢考察に利用したい情報。

【選択肢考察】
a 正しい。認知症により介護が必要な状況である。
b ③より生活保護は必要ない。
c ④⑤より身体障害者手帳は必要ない。
d ③④⑤より特別障害給付金は必要ない。
e Alzheimer型認知症は指定難病でない。……という理由でバツを付すのが正攻法なのであるが、指定難病をすべて暗記して国試に挑める受験生などごく少数であろう。厳格さには欠けるが、「医療費支給認定」であるため、要はお金の問題と考え、③より必要ないと考えるのが実戦的。

正答率:92%

テーマ:認知症患者の支援のためにまず申請するもの

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