117A48

63歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。4週間前から労作時の呼吸困難を自覚するようになり、1週間前から右胸の圧迫感を自覚するため受診した。喫煙は20本/日を40年間、3年前に禁煙。飲酒は機会飲酒。職業は、18歳から22歳まで大学生のときに建築現場の解体作業のアルバイト、23歳から55歳まで小学校教員、55歳から58歳までタクシー運転手、58歳から60歳まで花屋の店員、60歳からは植木職人である。身長164cm、体重66kg。体温36.2℃。脈拍68/分、整。血圧136/72mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。心音に異常を認めない。右胸部の呼吸音減弱を認めるが、副雑音は聴取しない。血液所見:赤血球549万、Hb 16.1g/dL、Ht 48%、白血球5,800、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 22U/L、ALT 24U/L、LD 223U/L(基準120~245)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.7mEq/L、Cl 105mEq/L、CEA 3.8ng/mL(基準5以下)。CRP 0.2mg/dL。胸水中のヒアルロン酸は150,000ng/mLと著明な増加を認めた。胸部エックス線写真を別に示す。
この患者の職業歴で、疾患との関係が疑われるのはどれか。
建築現場の解体作業員
小学校教員
タクシー運転手
花屋の店員
植木職人

解答: a

117A48の解説

【プロセス】
①4週間前から労作時の呼吸困難
②1週間前から右胸の圧迫感
③大学生のときに建築現場の解体作業のアルバイト
④右胸部の呼吸音減弱
⑤胸水中のヒアルロン酸が著明に増加
⑥胸部エックス線写真にて右中〜下肺野の透過性低下〜消失
☞①②④⑥より、右肺に何かしらの変化が起こっていると考えられる。③⑤があまりにも強烈なキーワードであろう。胸膜中皮腫が疑われる。

【選択肢考察】
a 正しい。建築現場の解体作業を行っていた際に石綿に曝露されたことが原因と考えられる。
b 小学校教員と胸膜中皮腫は直接の関係がない。
c タクシー運転手と胸膜中皮腫は直接の関係がない。
d 花屋の店員と胸膜中皮腫は直接の関係がない。
e 植木職人と胸膜中皮腫は直接の関係がない。

正答率:100%

テーマ:胸膜中皮腫の原因となる職業歴

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