117A44

40歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠24週、随時血糖110mg/dLであったため、自宅近くの産科診療所から紹介され受診した。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。子宮収縮の自覚はなく、性器出血を認めない。身長160cm、体重59kg(妊娠前体重55kg)。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧110/80mmHg。経口グルコース負荷試験〈75gOGTT〉:負荷前値:90mg/dL、1時間値:190mg/dL、2時間値:160mg/dL。HbA1c 5.4%(基準4.6~6.2)。
適切な対応はどれか。2つ選べ
運動療法を勧める。
経口血糖降下薬を用いる。
食事は4~6分割食を勧める。
食後2時間の血糖値150mg/dLを目標とする。
1日の摂取エネルギーを1,200kcalに制限する。

解答: a,c

117A44の解説

【プロセス】
①40歳の初妊婦(1妊0産)
②妊娠24週、随時血糖110mg/dL
③既往歴に特記なし
④75gOGTTで負荷前値:90mg/dL、1時間値:190mg/dL、2時間値:160mg/dL
⑤HbA1c 5.4%
☞②より妊娠中の耐糖能異常を疑う。高齢初産婦(①)であり、耐糖能異常を呈するリスクは高い。④では1時間値が180mg/dLオーバー、2時間値が153mg/dLオーバーしており、妊娠糖尿病〈GDM〉の診断となる。なお、③より糖尿病合併妊娠は否定的、④⑤より妊娠中の明らかな糖尿病〈overt diabetes in pregnancy〉も否定的。

【選択肢考察】
a 正しい。適度な運動療法が推奨される。
b 妊婦に経口血糖降下薬は★禁忌★。
c 正しい。4~6分割でこまめに栄養を接種することで、血糖値の急激な上昇を抑えることができる。
d 食後2時間の血糖値120mg/dLを目標とする。
e BMIは59÷1.6÷1.6≒23と肥満はないため、1日の摂取エネルギーは標準体重×30+妊娠中の付加量で算出される。妊娠中の付加量は妊娠初期に50、中期に250、後期に450kcalである。本妊婦(妊娠中期)の場合、22×1.6×1.6×30+250≒1,940kcal程度となる。まぁ、ここまで厳密に計算せずとも、妊娠中には胎児に栄養を与えるべく付加量があることを覚えていれば、いくらなんでも1,200kcalは少なすぎると常識的に判断できよう。

正答率:72%

テーマ:妊娠糖尿病〈GDM〉への対応

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