117A42

60歳の女性。血便を主訴に来院した。1週間前から腹痛と1日6回の水様下痢が出現し、自宅近くの医療機関を受診し投薬治療を受けている。昨日から腹痛が増悪し、血便がみられたため受診した。咳や痰はみられない。既往歴に特記すべきことはない。海外渡航歴はない。身長146cm、体重38kg。体温37.6℃。脈拍96/分、整。血圧124/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、左下腹部に圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸蠕動音は亢進している。血液所見:赤血球393万、Hb 11.2g/dL、Ht 33%、白血球15,300、血小板49万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.2g/dL、AST 13U/L、ALT 11U/L、LD 138U/L(基準120~245)、ALP 72U/L(基準38~113)、γ-GT 10U/L(基準8~50)、アミラーゼ40U/L(基準37~160)、CK 48U/L(基準30~140)、尿素窒素7mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸3.2mg/dL、血糖103mg/dL、Na 135mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 99mEq/L。CRP 9.4mg/dL。胸部エックス線写真で異常を認めない。下部消化管内視鏡検査の直腸像を別に示す。
考えられる疾患はどれか。
腸結核
Crohn病
虚血性腸炎
潰瘍性大腸炎
腸管Behçet病

解答: d

117A42の解説

【プロセス】
①1週間前から腹痛と1日6回の水様下痢
②昨日から腹痛が増悪し血便
③発熱(体温37.6℃)、白血球数とCRP高値
④下部消化管内視鏡検査の直腸像にて多発するびらんと血管透見性の消失
☞①②からは血便を呈する消化管疾患を疑う。③より炎症を伴う疾患に絞り込み、④から潰瘍性大腸炎〈UC〉の診断となる。

【選択肢考察】
a 腸結核では輪状潰瘍をみる。
b Crohn病では縦走潰瘍や敷石像をみる。
c 虚血性腸炎では発熱や炎症反応を認めない。また、高血圧症や糖尿病の背景下にみられることが多い。
d 正しい。上記の通り。
e 腸管Behçet病では回盲部潰瘍をみる。

正答率:52%

テーマ:潰瘍性大腸炎の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし