117A34

7歳の男児。落ち着きのなさを心配した両親に連れられて来院した。学校の担任から、授業中じっと席に座っていることができず勝手に席から離れること、おせっかいが多く同級生の邪魔をしてしまうため喧嘩になること、忘れ物が多いことを指摘されている。自宅では後片付けや整理整頓が苦手だが、自分の好きなゲームには集中して取り組むことができる。外出時に車が来るのを確認せずに飛び出してしまうことがある。出生時に異常は指摘されなかった。乳幼児期の発達で明らかな遅れを指摘されたことはない。神経診察を含む身体所見に明らかな異常を認めない。
現時点で考えられる疾患について正しいのはどれか。
知的障害を伴う。
有効な薬物療法がある。
成人になると症状は消失する。
出生後の養育が発症要因である。
好ましい行動を褒めるよりも好ましくない行動を注意する。

解答: b

117A34の解説

【プロセス】
①7歳の男児
②落ち着きのなさ
③授業中じっと席に座っていることができず勝手に席から離れる
④おせっかいが多く同級生の邪魔をしてしまうため喧嘩になる
⑤忘れ物が多い
⑥後片付けや整理整頓が苦手
⑦自分の好きなゲームには集中して取り組む
⑧外出時に車が来るのを確認せずに飛び出してしまう
☞年齢と性別(①)、多動性・衝動性(②③④)、不注意(⑤⑥⑧)、すべて典型的な注意欠如多動性障害〈ADHD〉の所見だ。ADHDでは知能低下はみられず、⑦のように好きなことには集中することができる。

【選択肢考察】
a 知的障害は伴わない。
b 正しい。メチルフェニデートなど、有効な薬物療法がある。
c 成長とともに多動症状は分かりにくくなるも、多くの例で成人期にも症状は残存する。
d 出生後の養育とは関係ない。
e 好ましい行動を褒めるほうがよい。

正答率:95%

テーマ:注意欠陥多動性障害〈ADHD〉について

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