117A26

32歳の女性。発熱、めまい、全身倦怠感を主訴に来院した。半年前から37℃前後の微熱が持続し、全身倦怠感やめまいも生じてきた。総合感冒薬を内服したが、症状が改善しないため受診した。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。血圧は右上肢120/62mmHg、左上肢80/40mmHg。頸部から左鎖骨上窩にかけて血管雑音を聴取する。心音は胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevine 2/6の拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。赤沈85mm/1時間。血液所見:赤血球360万、Hb 10.8g/dL、白血球9,600(桿状核好中球10%、分葉核好中球70%、好酸球1%、好塩基球1%、単球4%、リンパ球14%)。心電図と胸部エックス写真に異常を認めない。三次元造影CTを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
大動脈縮窄症
サルコイドーシス
大動脈弓部大動脈瘤
Stanford A型大動脈解離
高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉

解答: e

117A26の解説

【プロセス】
①32歳女性
②発熱、めまい、全身倦怠感
③血圧の左右差
④頸部から左鎖骨上窩にかけて血管雑音
⑤胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevine 2/6の拡張期雑音
⑥赤沈85mm/1時間
⑦三次元造影CTにて上行大動脈の拡大と左鎖骨下動脈の造影不良
☞若めの女性(①)に②③がみられている。④は⑦によって生じているのだろう。⑤は大動脈弁輪拡大による大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉の雑音が疑われる。炎症反応(⑥)もみられており、総合的に高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉に矛盾しない。

【選択肢考察】
a Turner症候群に合併しやすい。本症例の心雑音とは合致せず、また画像上も大動脈の縮窄を指摘できない。
b 心電図(房室ブロックなど)や胸部エックス線写真(両側肺門リンパ節腫脹〈BHL〉など)の異常が予想される。
c 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉には大動脈瘤を合併することがあるが、本症例では画像上、大動脈弓部に動脈瘤は指摘できない。
d 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉には大動脈解離を合併することがあるが、本症例では画像上、解離は指摘できない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:99%

テーマ:高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉の診断

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