116F71

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

65歳の女性。便潜血陽性を指摘され来院した。
現病歴:職場の健康診断で便潜血陽性を指摘され精査目的で受診した。便通異常の自覚はない。
既往歴:55歳時から高血圧症のため内服治療中であり、60歳時から糖尿病のためインスリン治療を受けている。
生活歴:事務職で在宅勤務をしている。
家族歴:父親が75歳時に大腸癌の手術を受けた。
現 症:意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温36.2℃。脈拍60/分、整。血圧120/84mmHg。呼吸数16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球8,300(桿状核好中球2%、分葉核好中球66%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球24%)、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 26U/L、ALT 28U/L、LD 104U/L(基準120~245)、ALP 102U/L(基準38~113)、γ-GT 25U/L(基準8~50)、アミラーゼ42U/L(基準37~160)、CK 42U/L(基準30~140)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.9mg/dL、血糖98mg/dL、HbA1c 7.2%(基準4.6~6.2)、総コレステロール226mg/dL、トリグリセリド110mg/dL、HDLコレステロール64mg/dL、LDLコレステロール126mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 99mEq/L、Ca 9.2mg/dL、P 3.2mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
経 過:鎮静薬を投与して下部消化管内視鏡検査を行うこととした。

この患者に行うべきなのはどれか。2つ選べ

検査前日の腹部エックス線撮影
検査前日の便潜血検査
検査当日のインスリン投与法の調整
検査当日の降圧薬内服の調整
検査翌日の下剤投与

解答: c,d

116F71の解説

【プロセス】
①便潜血陽性
②下部消化管内視鏡検査を行うこととした
☞健康診断で①がみられた場合、見逃してはならないのが大腸癌である。そのため②を行う運びとなっている。

【選択肢考察】
a 腸閉塞の有無などを確認すべく、事前に腹部エックス線撮影は行われることはある。が、敢えて検査前日に行う必要はない。
b すでに便潜血検査は陽性であり、スクリーニング検査という観点から前日に再度行う必要はない。
c 正しい。本患者は糖尿病のためインスリン治療を受けている。検査当日は朝から絶食となるため、インスリン低血糖を予防するためにも投与法の調整が必要だ。
d 正しい。下部消化管内視鏡検査の前には腸管洗浄薬を服用する。そのため、たとえば朝に降圧薬を内服した場合、腸管洗浄薬の影響により降圧作用が発揮できない可能性がある。ゆえに当日の降圧薬調整が必要となる。
e 検査前に腸管洗浄薬を服用するが、検査後の下剤投与は行わない。

正答率:62%

テーマ:【長文1/3】下部消化管内視鏡検査の前日・当日・翌日に行うべきこと

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