116F65

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

59歳の男性。呼吸困難のため救急車で搬入された。
現病歴:仕事中に突然の息苦しさが出現した。胸痛は自覚しなかった。早めに帰宅し自宅で安静にしていたが、症状が持続するため救急車を要請した。
既往歴:高血圧症を指摘されたことがあるが、投薬治療は受けていない。
生活歴:職業は銀行員。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。顔貌はやや苦悶様。身長167cm、体重58kg。体温36.5℃。心拍数108/分、整。血圧134/86mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(マスク5L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音はIII音ギャロップを呈しており、心尖部を最強点とするLevine 4/6の全収縮期雑音を聴取する。呼吸音は両側の下胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球442万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球7,300、血小板20万。血液生化学所見:LD 218U/L(基準120~245)、CK 70U/L(基準30~140)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖158mg/dL。心筋トロポニンT迅速検査陰性。胸部エックス線写真で肺うっ血を認めた。心電図(A)と心エコー図(B)とを別に示す。心エコー検査では左室駆出率は75%で、局所壁運動異常は認めず、僧帽弁後尖に線維状の構造物の付着を認めた。

病態はどれか。

僧帽弁狭窄症
肺動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症
僧帽弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症

解答: d

116F65の解説

【プロセス】
①仕事中に突然の息苦しさが出現
②心音はIII音ギャロップ
③心尖部を最強点とする全収縮期雑音を聴取
④両側の下胸部にcoarse cracklesを聴取
⑤CK基準値内・心筋トロポニンT迅速検査陰性
⑥胸部エックス線写真で肺うっ血
⑦心電図にて洞性頻脈・ST変化など虚血性心疾患を疑う所見なし
⑧心エコー図にて僧帽弁後尖に線維状の構造物(断裂した腱索と考えられる)の付着[左2枚の写真]と左室→左房への逆流血[一番右のカラードプラ写真]
☞②より①は心不全によるものが考えやすい。④⑥より左心不全による肺うっ血がありそうだ。⑤⑦より急性心筋梗塞〈AMI〉は否定的。③⑧より腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉の診断となる。

正答率:99%

テーマ:【長文1/3】僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし