116F46

32歳の初妊婦。陣痛発来を主訴に来院した。これまでの妊娠経過に異常を認めない。妊娠41週0日午前1時から10分間隔の規則的な子宮収縮を自覚し、次第に周期が短くなったため午前9時に来院した。身長156cm、体重71kg(非妊時63kg)。体温37.1℃。脈拍92/分、整。血圧128/74mmHg。呼吸数20/分。内診で分泌物は血性、子宮口は5cm開大、展退度60%、硬度は中、先進部は児頭で下降度SP+1cmであった。胎胞を触知し、胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数パターンに異常を認めず、陣痛周期は5分、持続時間は1分20秒であった。午後3時、子宮口は9cm開大、展退度100%、児頭下降度SP+3cmであった。児頭の矢状縫合は母体骨盤縦径に一致し、小泉門を0時方向に触れる。この時点の胎児心拍数陣痛図を別に示す。

適切な対応はどれか。

吸引分娩
経過観察
骨盤計測
帝王切開
オキシトシン投与

解答: b

116F46の解説

【プロセス】
①妊娠41週の初妊婦
②子宮口は5cm開大時、陣痛周期5分・持続時間1分20秒
③分娩開始から14時間の時点で児頭の矢状縫合は母体骨盤縦径に一致・小泉門を0時方向
④胎児心拍数陣痛図は一過性頻脈(reactive所見)
☞正期産(①)であり、微弱陣痛もない(②)。③より遷延分娩はなく、第2回旋も正常に終了していると分かる。④より胎児は元気であり、急ぎ帝王切開等の対応が必要な状況は考えにくい。正常分娩の経過中である。

【選択肢考察】
a そもそも急ぎ吸引分娩が必要な状況ではないし、子宮口も全開大しておらず吸引分娩の適応要件も満たさない。
b 正しい。正常分娩の経過中であり、経過観察とする。
c すでにSP+3cmまで胎児が下降してきており、児頭骨盤不均衡〈CPD〉は考えにくい。
d 上述の通り、急ぎ帝王切開が必要な状況ではない。
e 上述の通り、微弱陣痛はないため、子宮収縮薬であるオキシトシンを投与する必要はない。

正答率:84%

テーマ:正常分娩への適切な対応

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