116F45

71歳の男性。皮膚の黄染を主訴に来院した。1か月前から全身倦怠感が生じ、3日前から皮膚の黄染に気付き受診した。20年前から2型糖尿病のため通院加療中で、経口血糖降下薬の内服を継続している。輸血歴、飲酒歴はない。意識は清明。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧128/80mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。全身の皮膚に黄染を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血+、ビリルビン2+。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球8,300、血小板21万。血液生化学所見:総ビリルビン9.8mg/dL、直接ビリルビン6.2mg/dL、AST 52U/L、ALT 63U/L、ALP 323U/L(基準38~113)、LD 242U/L(基準120~245)、γ-GT 282U/L(基準8~50)。免疫血清学所見:CRP 1.0mg/dL、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。腹部超音波像を別に示す。

考えられる病態はどれか。

体質性黄疸
閉塞性黄疸
溶血性貧血
薬剤性肝障害
ウイルス性肝炎

解答: b

116F45の解説

【プロセス】
①高齢男性
②2型糖尿病のため通院加療中
③黄疸(眼球結膜に黄染・全身の皮膚に黄染
④尿ビリルビン2+・直接ビリルビン優位の上昇
⑤尿潜血+
⑥ALP・γ-GT上昇
⑦腹部超音波像にて肝内胆管の拡張
☞③の原因は、④⑥⑦から胆道狭窄による閉塞性黄疸と考えられる。①②からは胆管癌など悪性腫瘍の背景も疑われる。⑤の理由は本文だけからは断定困難であるが、尿路系にも悪性腫瘍がある可能性や、②を背景とした腎症などを呈している可能性が考えられる。

【選択肢考察】
a 血中ビリルビンの増加は認めるが、肝内胆管拡張など粗大な器質的変化は認めない。
b 正しい。上記の通り。
c 間接ビリルビン優位の上昇をみる。また、本患者ではHb 13.9g/dLであり、そもそも貧血を呈していない。
d 黄疸の副作用を呈する経口血糖降下薬も存在するが、肝内胆管拡張など粗大な器質的変化は認めない。
e 胆道系酵素に比べ、ASTやALTの上昇がメインとなる。

正答率:99%

テーマ:閉塞性黄疸の診断

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