116F42

38歳の男性。顔と足のむくみを主訴に来院した。2週間前から起床時に両眼瞼のむくみに気づき、いつも履いている靴がきつくて履けなくなってきたため受診した。足の痛みはないという。1か月前から体重が8kg増加している。既往歴はない。喫煙歴、飲酒歴はない。意識は清明。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧132/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。頸静脈に怒張を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。前脛骨面を母指で5秒間圧迫したところ両側に圧痕を伴う浮腫を認めた。

この時点で最も可能性の高い疾患はどれか。

肺高血圧症
下肢静脈血栓症
ネフローゼ症候群
甲状腺機能低下症
Budd-Chiari症候群

解答: c

116F42の解説

【プロセス】
①顔と足のむくみ
②1か月前から体重が8kg増加
③両側に圧痕を伴う浮腫
☞①②より体内の水分貯留がみてとれる。③より両側性圧痕性浮腫をきたす病態の鑑別となる。

【選択肢考察】
a 心音に異常を認めておらず、否定的。
b 原則として片側性の浮腫をみる。
c 正しい。両側性圧痕性浮腫をきたす病態であり、選択肢の中では最も合致する。
d 非圧痕性浮腫を呈する。
e 下肢の浮腫はありうるが、顔の浮腫は稀。また、門脈圧亢進による脾腫や側副血行形成による腹壁静脈怒張をみる。

正答率:95%

テーマ:ネフローゼ症候群の診断

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