116F41

40歳の男性。しびれと冷えを主訴に来院した。朝、両手の手指のしびれや冷えが出現するため受診した。3週間前から両手に症状が出現し、指が白くなることもあった。その時の様子を撮影した写真を別に示す。10年前から建設現場で工具を用いた掘削作業を中心とした仕事に従事している。化学物質を扱う作業の既往はない。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒程度。意識は清明。身長166cm、体重65kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧120/70mmHg。心音と呼吸音に異常を認めない。下肢に異常を認めない。血液所見(空腹時):赤血球510万、Hb 13.7g/dL、Ht 44%、網赤血球3.0%、白血球5,900。血液生化学所見:血小板25万、総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン1.1mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 26U/L、ALT 14U/L、LD 167U/L(基準120~245)、ALP 83U/L(基準38~113)、γ-GT 30U/L(基準8~50)、CK 75U/L(基準30~140)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、血糖97mg/dL、HbA1c 4.8%(基準4.6~6.2)、Na 139mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 98mEq/L。免疫血清学所見:CRP 0.2mg/dL、抗核抗体陰陰性。

この患者に必要なのはどれか。

体重の減量
禁酒の徹底
工具の見直し
休暇中の戸外での運動
作業中の適度な塩分を含む水の摂取

解答: c

116F41の解説

【プロセス】
①手の写真にて局所的な指の蒼白化(Raynaud現象)
②10年前から建設現場で工具を用いた掘削作業に従事
③抗核抗体陰陰性
☞①は膠原病でみられやすいが、③などからそうした背景は考えにくい。②より振動工具使用による白蝋病が考えやすい。

【選択肢考察】
a 身長166cm、体重65kg(BMI約23.6)であり、肥満はない。
b 飲酒は機会飲酒程度である。また、本病態は飲酒がリスクとなるわけでもない。
c 正しい。工具による振動が原因と考えられるため、この見直しを行う。
d 運動不足による病態ではないため、不要。
e 熱中症など、脱水による病態ではないため、不要。

正答率:99%

テーマ:白蝋病(Raynaud現象)への指導

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