116E35

55歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。半年前から腫瘤に気付き、徐々に大きくなっていることを自覚している。眼瞼結膜に貧血があり、左鎖骨上リンパ節の腫大を認める。上腹部に径10cmの腫瘤を触知し、圧痛を認める。患者は「おなかになにかがあるのは分かっていたが、癌と診断されるのが怖く今まで受診しなかった。飲食店を自営しているが、私がいないと休業となり、収入が無くなり困る。もっと早く受診すれば、私は死なずにすんだのでしょうか」という。

この患者が感じている苦痛のうち社会的苦痛はどれか。

死への恐怖
上腹部の痛み
収入が無くなる事への不安
癌と診断される事への恐怖
もっと早く受診すればという後悔

解答: c

116E35の解説

【プロセス】
①55歳の男性
②上腹部に径10cmの腫瘤を触知し、圧痛あり
③半年前から腫瘤に気付き、徐々に大きくなっている
☞腹部の悪性腫瘍が疑われる。なお、精神的苦痛と霊的苦痛は線引が難しい。たとえば「死への恐怖」は「恐怖」という感情の側面が強いのであれば精神的苦痛であろうし、「死ぬこと」という概念に重点がおかれた場合に霊的苦痛と考えられる。つまりは全く同じ発言であっても、究極的には患者の主観により、どのような性質の苦痛か異なるのだ。ゆえに、本解説ではあえて両者を線引をしないこととした。

【選択肢考察】
a 精神的ないし霊的苦痛に該当する。
b 身体的苦痛に該当する。
c 正しい。経済的問題であり、社会的苦痛に該当する。
d 精神的ないし霊的苦痛に該当する。
e 精神的ないし霊的苦痛に該当する。

正答率:99%

テーマ:社会的苦痛に該当するもの(トータルペイン)

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