116E33

58歳の男性。頭痛と意識障害のため救急車で搬入された。3日前から38℃台の発熱、咳嗽、喀痰の増加を自覚していた。昨晩から強い頭痛を訴えており、今朝になり反応も鈍くなってきたため、家族が救急車を要請した。意識レベルはJCS II-30。体温39.8℃。心拍数128/分、整。血圧116/58mmHg。呼吸数28/分。SpO2 98%(マスク5L/分 酸素投与下)。項部硬直とKernig徴候を認める。①対光反射に左右差を認める。②胸骨左縁に収縮期雑音を認める。③左下胸部にcoarse cracklesを認める。④腸蠕動音は減弱している。⑤両側下腿に浮腫を認める。

腰椎穿刺の回避を考えるべき所見はどれか。

解答: a

116E33の解説

【プロセス】
①頭痛と意識障害
②3日前から38℃台の発熱、咳嗽、喀痰の増加
③JCS II-30
④項部硬直とKernig徴候
☞④より髄膜炎の判断は容易。①〜③も随伴症状として矛盾しない。髄膜炎の検査として腰椎穿刺による髄液採取があるが、頭蓋内圧亢進時には脳ヘルニアを惹起するため回避すべきである。よって、下線部から頭蓋内圧亢進を疑う所見を1つ選べばよい。

【選択肢考察】
a 正しい。頭蓋内圧亢進により、対光反射の経路が障害(おそらく動眼神経麻痺)されている可能性が高い。おそらくは既に鉤ヘルニア(テント切痕ヘルニアの1つで側頭葉が脱出する)を呈しているのだろう。これによる左右差を伴う動眼神経麻痺と考えられる。腰椎穿刺はこのヘルニアを増悪させかねない。
b 弁膜症など心疾患が考えられるが、腰椎穿刺の実施には影響しない。
c 肺炎の存在が考えられるが、腰椎穿刺の実施には影響しない。
d 麻痺性イレウスなどが考えられるが、腰椎穿刺の実施には影響しない。
e 心不全や低アルブミン血症が考えられるが、腰椎穿刺の実施には影響しない。

正答率:99%

テーマ:髄膜炎患者に対して腰椎穿刺の回避を考えるべき所見

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