116E29

50歳の女性。腹痛と嘔吐を主訴に来院した。前夜焼肉を食べ5時間ほどしてから腹痛が出現し、2度嘔吐したため受診した。意識は清明。身長162cm、体重58kg。体温37.8℃。脈拍96/分、整。血圧164/92mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦だが、右上腹部を圧迫したまま深吸気をさせると痛みのために呼吸が止まってしまう。血液所見:赤血球490万、Hb 15.9g/dL、Ht 45%、白血球14,500、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 32U/L、ALT 46U/L、LD 143U/L(基準120~245)、ALP 112U/L(基準38~113)、γ-GT 128U/L(基準8~50)、アミラーゼ54U/L(基準37~160)、尿素窒素13.5mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖166mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 1.4mg/dL。来院時の腹部造影CTを別に示す。

診断はどれか。

急性胆管炎
急性胆嚢炎
胆嚢腺筋症
胆嚢捻転症
慢性胆嚢炎

解答: b

116E29の解説

【プロセス】
①前夜焼肉を食べ5時間ほどしてから腹痛
②右上腹部を圧迫したまま深吸気をさせると痛みのために呼吸が止まる
③白血球・CRP上昇
④ALP上限ギリギリ・γ-GT上昇
⑤腹部造影CTにて胆嚢腫大と胆嚢壁の肥厚
☞油っぽいものを食べた後の発症(①)、Murphy徴候(②)、感染・炎症の示唆(③)、胆道障害(④)より急性胆嚢炎を疑う。⑤にて確定となる。

【選択肢考察】
a CT上、胆管の拡張や壁肥厚は認めない。
b 正しい。上記の通り。
c 胆嚢壁の肥厚は認めるも、存在単独では感染徴候を示さない。
d 捻転により胆嚢への血流が低下し、造影CT上は胆嚢壁の造影効果が乏しくなる。本患者では胆嚢壁がむしろ濃染されており、否定的。
e 文字通り、慢性の経過をとる。前夜からの激烈な症状を呈している本症例には合致しない。

正答率:97%

テーマ:急性胆嚢炎の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし