116E28

70歳の男性。咳嗽と嘔吐を主訴に来院した。5日前から発熱と咳嗽を認めていたが、昨日から食事が摂れなくなり胃液を嘔吐している。今朝から反応が乏しくなった。2年前から脳梗塞による左片麻痺がある。意識レベルはJCS II-10。体温38.2℃。脈拍108/分、整。血圧72/42mmHg。呼吸数20/分。SpO2 94%(room air)。四肢は温かい。心音に異常を認めない。右胸部にcoarse cracklesを聴取する。上腹部はやや膨隆している。微生物検査用に血液と喀痰を採取し、末梢静脈から輸液を開始した。

次に行う対応として適切なのはどれか。

輸血
気管挿管
経鼻胃管挿入
ヘパリン投与
プロプラノロール投与

解答: c

116E28の解説

【プロセス】
①高齢男性
②発熱、咳嗽、嘔吐、食事摂取不可
③2年前から脳梗塞による左片麻痺
④意識レベルはJCS II-10
⑤血圧72/42mmHg
⑥SpO2 94%(room air)
⑦四肢は温かい
⑧右胸部にcoarse crackles
⑨上腹部はやや膨隆
☞⑧より肺炎が疑われる。①③からは嚥下機能に障害がある可能性が高く、誤嚥性肺炎が疑わしい。②⑥の症候も矛盾しない。④⑤より意識障害を伴うショック状態に至っており、危険な状態だ。⑦からは敗血症が疑われる。②による脱水で循環血液量が減少したこと、さらには敗血症に至っていることが、⑤でショック状態を呈している原因と考えられる。⑨の白々しい記載の意図を考えれば、正答へは一本道となる。

【選択肢考察】
a 出血を示唆する所見は記載がない。
b たしかにSpO2は低下しているが、これは気道閉塞によるものではない。
c 正しい。⑨からは依然として胃内容が貯留していることが読み取れ、減圧のため経鼻胃管挿入が望ましい。
d 血栓症を示唆する所見は記載がない。
e β遮断薬。頻脈性不整脈によるショックではないため不要。むしろ心収縮力を落としてしまうため、ショック状態への投与は危険である。

正答率:56%

テーマ:嘔吐を伴う敗血症患者(誤嚥性肺炎)への対応

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