116D62

54歳の男性。糖尿病の合併症の精査を目的に来院した。高血糖と血圧高値は10年前の健診で初めて指摘され、自宅近くの診療所で経口血糖降下薬と降圧薬を処方されている。最近3年はHbA1cが8%台で推移し、両足底の感覚鈍麻を自覚している。先月、眼科で単純網膜症と診断された。身長168cm、体重65kg。体温36.1℃。脈拍64/分、整。血圧128/76mmHg。胸腹部に異常を認めない。膝蓋腱反射に異常はなく、アキレス腱反射は左右ともに低下していた。尿所見:蛋白(−)、糖2+、ケトン体(−)、潜血(−)。

この患者で糖尿病性腎症と診断するのに必要な検査はどれか。

腎臓超音波検査
血中クレアチニンの測定
血中シスタチンCの測定
尿中アルブミン/クレアチニン比の測定
尿中β2-マイクログロブリン/クレアチニン比の測定

解答: d

116D62の解説

【プロセス】
①高血糖と血圧高値にて内服中
②最近3年はHbA1cが8%台で推移
③両足底の感覚鈍麻を自覚
④眼科で単純網膜症と診断
⑤アキレス腱反射は左右ともに低下
⑥尿糖2+
☞①より高血糖に対する治療が行われているようだが、②をみる限り、コントロールは良くなさそうだ。③⑤より神経障害、④より網膜症、⑥より腎症もみられている。糖尿病の3大合併症である。

【選択肢考察】
a 腎の萎縮や腫大、といった形態学的異常を描出可能。しかしながら、腎が萎縮していようと腫大していようと、糖尿病性腎症の診断にはならない。
b 早期の糖尿病性腎症では血中クレアチニン値が正常のこともあり、診断には直結しない。
c たしかに血中クレアチニン値に比べると、軽度の腎障害から上昇が始まるため早期診断に有用、といった強みがある。が、それでも早期の糖尿病性腎症では正常のこともあり、少なくとも診断基準には含まれていない。
d 正しい。尿中アルブミン/クレアチニン比が30mg/gCr以上の場合、糖尿病性腎症と診断できる。
e 尿中β2-マイクログロブリンは尿細管機能の指標である。

正答率:70%

テーマ:糖尿病腎症と診断するのに必要な検査

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし