116D60

11歳の男児。右肩痛を主訴に来院した。2か月前に右上腕近位部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大し運動時痛が生じてきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長132cm、体重26kg。体温36.2℃。右上腕近位部に硬い腫瘤を触知する。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、白血球4,300、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、LD 177U/L(基準120~245)、ALP 566U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準8~50)、CK 42U/L(基準30~140)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、尿酸4.9mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.9mg/dL。右上腕骨の単純エックス線写真(A)とMRIの脂肪抑制造影T1強調冠状断像(B)とを別に示す。

次に行う対応として適切なのはどれか。

抗菌薬投与
鎮痛薬投与
ギプス固定
組織生検
局所冷却

解答: d

116D60の解説

【プロセス】
①11歳の男児
②右上腕近位部の腫瘤
③徐々に腫瘤が増大し運動時痛が生じてきた
④ALP上昇
⑤右上腕骨の単純エックス線写真では上腕骨骨幹端における不規則な造骨像と周囲の骨膜反応
⑥MRIの脂肪抑制造影T1強調冠状断像では腫瘍による骨内外の高信号域
☞②③より悪性腫瘍を考える。④は骨が破壊されていることを示唆する。⑤⑥より原発性骨腫瘍が考えやすい。①と出現部位から考えるに、骨肉腫が可能性として高そうだ。

【選択肢考察】
a 細菌感染ではないため、無効。
b 現状、あくまでみられているのは運動時痛であり、安静時には痛みがみられないようだ。そのため、安静にしていればよく、鎮痛薬投与は必要ない。
c 骨折に対する対応である。
d 正しい。骨腫瘍の診断につながる。
e 特に熱感を伴っているといった記載もなく、必要ない。

正答率:92%

テーマ:原発性骨腫瘍への対応

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