116D57

82歳の女性。右母趾爪の褐色斑を主訴に来院した。20年前から同部位に褐色斑が出現した。10年前に自宅近くの診療所を受診したが良性の皮膚疾患と診断された。半年前から褐色斑が拡大し、自然に出血するようになったため受診した。掻痒と疼痛はない。右母趾に皮疹を認める。圧痛はない。右鼠径リンパ節を触知する。右母趾の写真(A)とダーモスコピー像(B)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

Bowen病
悪性黒色腫
基底細胞癌
色素性母斑
乳房外Paget病

解答: b

116D57の解説

【プロセス】
①20年前から右母趾爪の褐色斑
②半年前から褐色斑が拡大し、自然に出血(右母趾の写真でも示されている)
③右鼠径リンパ節を触知
④ダーモスコピー像にていわゆるABCDE(非対称性[Asymmetry]、辺縁不整[Border]、色調不均一[Color]、直径6mm以上[Diameter]、表面隆起[Elevation])が全てみられている
☞①②の経過より、皮膚科領域の悪性腫瘍を疑う。④より悪性黒色腫〈メラノーマ〉の診断。メラノーマはリンパ節転移をきたしやすいため、③も説明がつく。

【選択肢考察】
a 類円形かつ境界明瞭な紅〜黒褐色の扁平隆起性皮疹をみる。
b 正しい。上記の通り。
c 原因として紫外線が代表的であり、顔面の正中に好発する。
d いわゆる「ほくろ」。急速拡大はしない。
e 外陰部や肛門周囲にみられる。

正答率:93%

テーマ:悪性黒色腫〈メラノーマ〉の診断

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