116D56

69歳の男性。1か月前からの皮膚紅斑および1週間前からの全身倦怠感と食欲不振を主訴に来院した。姉が血液疾患で死亡している。体温37.1℃。脈拍68/分、整。上半身に紅斑を認める。体表リンパ節は触知しない。血液所見:赤血球446万、Hb 14.9g/dL、Ht 44%、白血球14,800、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン1.5mg/dL、AST 95U/L、ALT 53U/L、LD 1,916U/L(基準120~245)、クレアチニン1.4mg/dL。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本写真を別に示す。

この患者で注意すべき合併症はどれか。

高リン血症
高クロール血症
高カルシウム血症
高ナトリウム血症
高マグネシウム血症

解答: c

116D56の解説

【プロセス】
①皮膚紅斑
②全身倦怠感と食欲不振
③姉が血液疾患で死亡
④白血球数増加
⑤末梢血塗抹May-Giemsa染色標本写真にてflower cell(異型リンパ球)
☞③より遺伝性疾患を考えるが、⑤の決定的な情報から成人T細胞白血病〈ATL〉と診断する。ATLでは①のような皮膚変化や②のような感冒様症状がみられる。異型リンパ球の増加により、④も納得だ。なお、ATLではPTHrPが産生されることがあり、腫瘍性液性因子性高Ca血症〈HHM〉をみることを確認しておこう。

【選択肢考察】
a HHMにより、低リン血症を呈する。
b ATLでは特に変動しない。
c 正しい。HHMによる高カルシウム血症をみる。
d ATLでは特に変動しない。
e ATLでは特に変動しない。

正答率:98%

テーマ:成人T細胞白血病〈ATL〉で注意すべき合併症

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