116D55

54歳の女性。健康診断で赤血球増多を指摘され来院した。夫からいびきがうるさいとよく言われる。また、数秒間寝息が聞こえないこともあるといわれるようになった。身長153cm、体重80kg。脈拍76/分、整。血圧148/98mmHg。眼瞼結膜に充血を認め、眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球650万、Hb 19.0g/dL、Ht 52%、白血球7,600(桿状核好中球4%、分葉核好中球64%、好酸球1%、好塩基球0%、単球9%、リンパ球22%)、血小板38万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.5g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 36U/L、ALT 32U/L、LD 180U/L(基準120~245)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖108mg/dL。

この患者で予想される検査所見はどれか。

ヒスタミン増加
ビタミンB12増加
JAK2遺伝子変異陽性
エリスロポエチン増加
フィラデルフィア染色体陽性

解答: d

116D55の解説

【プロセス】
①健康診断で赤血球増多
②夫からいびきがうるさいとよく言われる
③数秒間寝息が聞こえないこともある
④赤血球650万
⑤白血球と血小板数は正常
☞②③からは睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉を疑う。①④からは多血症が読み取れ、SASによる二次性赤血球増加症と考えられる。真性赤血球増加症〈PV〉であれば汎血球増加をみるため、⑤よりPVではなく、やはり二次性赤血球増加症と判断できる。

【選択肢考察】
a PVでは汎血球増加のため、好塩基球も増え、これによりヒスタミンが増加する。
b PVでは汎血球増加により、破壊により血球から漏出するビタミンB12が増加する。
c PVの原因である。
d 正しい。SASによる低酸素のフィードバックにより、エリスロポエチンが増加するのが二次性赤血球増加症の病態である。一方、PVでは赤血球増多のフィードバックによりエリスロポエチンが低下するので区別したい。
e 慢性骨髄性白血病〈CML〉や一部の急性リンパ性白血病〈ALL〉にてみられる。

正答率:86%

テーマ:二次性赤血球増加症で予想される検査所見

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