116D52

48歳の女性(1妊1産)。腹部膨満感を主訴に来院した。3か月前に腹囲増大を自覚し、1週間前から腹部膨満感が強くなってきたため受診した。家族歴に特記すべきことはない。29歳時に帝王切開している。身長162cm、体重54kg。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧106/66mmHg。呼吸数18/分。下腹部に弾性軟で可動性のない腫瘤を触知する。内診で子宮は後屈・正常大で圧痛はない。腫瘍マーカーは、CA19-9 87U/mL(基準37以下)、CA125 235U/mL(基準35以下)。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像を別に示す。胸腹部CTで転移や播種を認めない。

この患者でまず行うのはどれか。

開腹手術
放射線照射
嚢胞穿刺吸引
薬物による抗癌治療
GnRHアゴニスト投与

解答: a

116D52の解説

【プロセス】
①腹囲増大・腹部膨満感
②下腹部に弾性軟で可動性のない腫瘤
③29歳時に帝王切開
④CA19-9・CA125高値
⑤骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像にて内部に充実成分を含む卵巣腫瘍
⑥胸腹部CTで転移や播種を認めない
☞⑤より①②の原因は卵巣腫瘍であったと分かる。④も矛盾しない。⑥より進行はしていないようだが、急速な増大ペースや充実成分の存在などから、悪性(卵巣癌)の可能性が高い。なお③について、画像をよく見ると子宮壁に局所的な高信号域がみえる。これは帝王切開の跡と思われる。

【選択肢考察】
a 正しい。卵巣癌の標準的な対応としては、まず開腹手術による病変摘出とその後の病理診断。術後の必要に応じて各種治療を追加する形となる。
b 診断後、必要に応じて行う。
c 嚢胞穿刺により癌細胞が播種してしまう恐れがあるため、危険。
d 診断後、必要に応じて行う。
e 子宮内膜症性嚢胞〈チョコレート嚢胞〉への治療。

正答率:88%

テーマ:卵巣腫瘍にまず行う治療

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