116D51

32歳の女性。下痢と腹痛を主訴に来院した。半年前から週に2日程度、外出を予定した日に下痢が出現するようになり、3か月前から下痢の時に腹痛を伴うようになったため受診した。症状のない日の便の形状は普通便で、排便回数は1回/日であるが、症状のある日は水様便で、排便回数は5回/日である。排便により症状は一時的に軽快する。家族歴と既往歴に特記すべきことはない。身長160cm、体重48kg(半年間で体重増減なし)。体温36.4℃。眼瞼結膜に貧血を認めない。腹部は平坦で、下腹部正中に軽度の圧痛を認めるが反跳痛を認めない。全身の関節に痛みはない。下部消化管内視鏡検査を施行したが異常所見を認めなかった。腹痛に対して抗コリン薬を投与したが症状は変わらなかった。

この患者の治療で適切でないのはどれか。

止痢薬投与
食物繊維摂取
麻薬性鎮痛薬投与
プロバイオティクス摂取
セロトニン5-HT3受容体拮抗薬投与

解答: c

116D51の解説

【プロセス】
①32歳の女性
②下痢と腹痛
③外出を予定した日に下痢
④症状のない日の便の形状は普通便
⑤症状のある日は水様便
⑥排便により症状は一時的に軽快
⑦半年間で体重増減なし
⑧貧血や消化管病変なし
☞①と比較的若めの年齢で②がみられている。④より、症状は常時みられているわけではないようだ。③のようなストレスがかかる状況で⑤がみられているのが特徴的。最も強いキーワードは⑥であろう。過敏性腸症候群である。⑦⑧も矛盾しない。

【選択肢考察】
a 対症療法として有効。
b 腸管への負担を減らし、病態改善に貢献する。
c 誤り。末期がんなどの終末期医療で用いられる薬物である。
d プロバイオティクスとは、体内に自然に存在する微生物と類似した微生物であり、健康に有益な可能性があるとされている。具体例としてヨーグルトなどが挙げられる。
e 消化管運動亢進に対し作用し、下痢を緩和する働きがある。

正答率:85%

テーマ:過敏性腸症候群の治療

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