116D53

51歳の男性。右膝前十字靱帯損傷の再建術を施行された。術後出血を認めず、創部の異常も認めない。手術翌日から食事を摂取していた。術後3日目の午前中に膝関節固定具を外してトイレに立った時、心窩部の違和感と発汗を認めた。しばらく安静にして症状は改善した。その後、悪心、食欲不振が出現したため昼食は摂取できなかった。術前の既往歴、家族歴に特記すべきことはない。体温36.4℃。脈拍84/分、整。血圧114/70mmHg。呼吸数18/分。SpO2 92%(room air)。鼻カニューラ2L/分で酸素投与したところ、SpO2は99%となった。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。術創部からの出血は認めない。胸部造影CTを別に示す。

ただちに行うべきなのはどれか。

ECMO〈Extracorporeal membrane oxygenation〉
緊急手術
冠動脈造影
ヘパリン投与
下大静脈フィルター挿入

解答: d

116D53の解説

【プロセス】
①右膝前十字靱帯損傷の再建術後
②術後3日目にトイレに立った時、心窩部の違和感と発汗
③胸部造影CTにて両側肺動脈内の血栓
☞①②の典型的エピソード、③より肺血栓塞栓症の診断。

【選択肢考察】
a バイタルは保たれており、ECMO導入の必要はない。
b やむなき場合に手術が行われることはあるも、「ただちに行うべき」ものではない。
c 虚血性心疾患の検査。
d 正しい。まずは血栓に対し、抗凝固療法を行いたい。
e 下肢に形成された静脈血栓が肺へ至らないようブロックする処置。現在すでに肺血栓塞栓症を発症してしまっており、まずはこちらへの対応が優先される。

正答率:82%

テーマ:肺血栓塞栓症にただちに行う治療

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