116D48

85歳の男性。肺炎球菌性髄膜炎のため入院中である。全身状態が悪化しているため尿道カテーテルを留置している。昨晩は不穏状態であり尿道カテーテルを一晩中気にしていた。右股関節に対して人工関節置換術の既往がある。体温36.8℃、脈拍76/分。血圧120/80mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。外尿道口からの出血を認め、尿道カテーテルに連結する蓄尿バッグ内に尿が出ていないことが判明した。腹部CT矢状断像(A)と冠状断像(B)を別に示す。

この患者にまず行うべき処置として適切なのはどれか。

尿道カテーテルを押し込む。
尿道カテーテルを折り曲げる。
尿道カテーテルの固定水を抜く。
尿道カテーテルの内腔にもう一本挿入する。
尿道カテーテルをそのまま牽引して抜去する。

解答: c

116D48の解説

【プロセス】
①全身状態が悪化しているため尿道カテーテルを留置
②昨晩は不穏状態であり尿道カテーテルを一晩中気にしていた
③外尿道口からの出血を認め、尿道カテーテルに連結する蓄尿バッグ内に尿が出ていない
④腹部CT矢状断像にて膀胱の拡大(尿が出せていない)と尿道内のバルーンとカテーテル
⑤冠状断像にて尿道内でバルーンが拡張してしまっている
☞②より、①で留置していたカテーテルを自己抜去してしまったのだろう。そのため、尿道内にバルーンが落ちてきてしまい、尿道損傷をきたし、かつ尿閉に至っている(③)。以上の内容を、④⑤から画像的に確認できる。まずは尿道カテーテルを抜去したいところであるが、バルーンが拡張してしまっているため、そのまま引き抜くことはできない。ゆえにバルーン内の固定水を抜き、抜去しやすくすることが先決となる。

【選択肢考察】
a 尿道損傷を悪化させかねない。★禁忌★。
b 折り曲げても抜去しやすくするわけではない。不必要な対処である。
c 正しい。上記の通り。
d 新たに挿入したカテーテルから導尿しよう、という意図なのであろうか。そのような細くかつ導尿できる管の存在が怪しいし、すでに尿道損傷をきたしてしまっている以上、一度すみやかにカテーテルを抜去することが必要となる。いずれにせよ、実臨床上では行うことのない処置である。
e 尿道損傷を悪化させかねない。★禁忌★。

正答率:79%

テーマ:尿道カテーテルのバルーンが尿道内に落ち込んでしまった際の処置

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