116D43

55歳の男性。昨日から発熱と動悸を自覚し、本日前頸部に腫脹と痛みが出現したため来院した。1週間前から咽頭痛があり風邪薬を服用していた。体温37.6℃。脈拍96/分、整。血圧132/78mmHg。頸部リンパ節の腫大は認めないが、甲状腺はびまん性に腫大しており、右葉に圧痛を認める。血液生化学所見:TSH 0.1μU/mL(基準0.2~4.0)、FT4 2.7ng/dL(基準0.8~2.2)。CRP 8.4mg/dL。

最も考えられる疾患はどれか。

Basedow病
Plummer病
慢性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎
急性化膿性甲状腺炎

解答: d

116D43の解説

【プロセス】
①発熱と動悸
②前頸部に腫脹と痛み
③1週間前から咽頭痛があり風邪薬を服用
④甲状腺はびまん性に腫大
⑤右葉に圧痛
⑥TSH低下・FT4増加
⑦CRP高値
⑧画像ではびまん性の甲状腺腫を認めるが、皮膚の発赤はない
☞①②④⑥から甲状腺中毒症が疑われる。③の前駆感染、⑤の圧痛、⑦の炎症所見などから亜急性甲状腺炎が考えやすい。

【選択肢考察】
a Basedow病では炎症所見や圧痛はみられない。
b Plummer病は良性腫瘍であるため、甲状腺はびまん性に腫大しない。また、炎症所見や圧痛もみられない。
c 通常は甲状腺機能低下症をきたす。一過性に甲状腺機能が亢進し、無痛性甲状腺炎となることがあるが、その場合は文字通り「無痛性」であるため圧痛は伴わない。
d 正しい。上記の通り。
e 胎生期の遺残物である下咽頭梨状窩瘻に細菌感染を呈し、それが甲状腺に波及したもの。小児や免疫低下者にみられやすい。前頸部の皮膚発赤をみることが多いため、画像からも否定できる。

正答率:90%

テーマ:亜急性甲状腺炎の診断

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