116D39

28歳の女性。肉眼的血尿を主訴に来院した。19歳時の大学入学時健診ではじめて血尿を指摘されたがそのままにしていた。3日前から尿が赤黒いことに気づいて経過観察していたが、次第に色が濃くなったので受診した。母親が3年前にくも膜下出血で死亡した。兄、母方の祖母と叔父が透析を受けており、いずれも成人になってから腎障害が出現したという。表在リンパ節は触知しない。胸部に異常を認めない。両側の側腹部に腫瘤を触れる。尿所見:蛋白(−)、潜血3+、尿沈渣に赤血球100以上/HPF、白血球0~2/HPF、円柱は認めない。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン2.5mg/dL、eGFR 20.2mL/分/1.73m2、Na 142mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 101mEq/L。腹部MRIでは両側の腎臓が腫大し、嚢胞が多発している。患者には17歳の弟がいるが、症状はなく健診も受けたことがない。

本症を患者の弟が有する確率はどれか。

0%
25%
33%
50%
1

解答: d

116D39の解説

【プロセス】
①28歳の女性
②肉眼的血尿
③母親が3年前にくも膜下出血で死亡・兄、母方の祖母と叔父が透析(いずれも成人になってから腎障害出現)
④両側の側腹部に腫瘤
⑤腹部MRIでは両側の腎臓が腫大し、嚢胞が多発
☞③より遺伝性疾患を考える。④の正体は⑤で明らかとなり、多発性嚢胞腎〈PKD〉と考えられる。①③より常染色体優性遺伝する、ADPKDと判断可能。母(因子あり)をAa、父(直接的な記載はないが定石通り因子なしとみなすべき)をaaと置くと、子のパターンはAa/Aa/aa/aaの4通り。このうち、Aaの者が本症を有することとなるため、2/4→50%が正解となる。

正答率:93%

テーマ:弟が遺伝性疾患を有する確率の算出(計算問題)

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