116D38

6か月の女児。左下肢を動かさないため母親に連れられて来院した。2日前に38℃台の発熱があり、自宅近くの診療所で咽頭炎と診断され、アセトアミノフェン坐剤の処方をうけている。翌日、おむつを交換するときに激しく啼泣することに母親が気づいた。新生児期に異常は指摘されていない。身長68cm、体重7.2kg。体温37.8℃。脈拍132/分、整。血圧96/68mmHg。呼吸数14/分。左下肢の自動運動はなく、左股関節を他動的に動かすと啼泣する。右股関節に可動域制限を認めない。血液検査:赤血球450万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球12,600(桿状核好中球4%、分葉核好中球80%、好酸球1%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球10%)、血小板26万。CRP 15mg/dL。左股関節穿刺液のグラム染色でグラム陽性球菌が認められた。

行うべき処置はどれか。

NSAID内服
左股関節切開・洗浄
両下肢オーバーヘッド牽引
リーメンビューゲル装具着用
副腎皮質ステロイド左股関節内投与

解答: b

116D38の解説

【プロセス】
①6か月の女児
②左下肢を動かさない
③2日前に38℃台の発熱
④おむつを交換するときに激しく啼泣
⑤白血球12,600(分葉核好中球80%)・CRP 15mg/dL
⑥左股関節穿刺液のグラム染色でグラム陽性球菌
☞③⑤より細菌感染を疑う。①②④からは化膿性股関節炎を想起したい。⑥は頻度的に黄色ブドウ球菌が考えやすい。

【選択肢考察】
a 消炎鎮痛作用があるも、根本的な解決策となっていない。
b 正しい。関節内が化膿している状況であるため、切開・洗浄を行う。
c 発育性股関節形成不全〈先天性股関節脱臼〉への処置。
d 発育性股関節形成不全〈先天性股関節脱臼〉への処置。
e 化膿性疾患に対し、副腎皮質ステロイドの投与は感染を増悪させるため★禁忌★。

正答率:97%

テーマ:乳児化膿性股関節炎に行うべき処置

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